● 事件の経過 (新聞報道より)
◆5/25 土取り集中、はげ山化。
業者による土取が相次ぎ、生活環境が脅かされていると住民(4区長と2自治会長)が乱開発から守る要望書を提出した。この地区は、砂防指定地で、愛知青少年公園と県立芸術大に挟まれた県道沿線。10数カ所の土取りや土砂採取現場が集中している。高度成長期の土地投機ブームで名古屋市など町外の人が購入した土地が多く、業者との契約書に安易に判を押すケースが多いようだ。町としては、業者と地主、町長との間で協定書の作成を義務づけた事前協議制度を検討する考え。一方、業者は「県の許可を受けており、何の問題もないと反発。」
◆6/4 ”産廃、『自然との共生』汚す”名古屋の業者、今日にも摘発
現場は、愛知万博の周辺施設として利用も検討されている愛知青少年公園の周辺。環境万博の理想を踏みにじるように森林破壊は進み、不法投棄まで行われていた。調べによると、今年1月から2年間の期限で、砂防法に基づく土地採取の知事許可を得ているが、土砂を採取した跡は土で埋め戻すのが許可条件になっている。業者は埋め戻しをせず、最近2ヶ月間に、現場内の2カ所にダンプカー十数台分の解体廃材や燃えがらを埋めた疑いがもたれている。
土取り現場が集中し、県道は「ダンプ街道」とも呼ばれており、摘発事件の他も不法投棄の噂になっている。「夜に産廃を埋めているのを見た」「香流河の上流にあたり、環境汚染が心配」の声もあがっていた。
◆6/4 難しい処分場確保、不法投棄で稼ぐ。無節操な許可・甘いチェック
今回の事件は悪質な業者が暴走した結果だが、行政側が無節操に土取りを認めてきたことも背景にある。
土取り行為は、砂防法に従って県知事が許可。業者は土地所有者の同意や砂防法の方法、埋め戻し計画などを市町村に提出する。市町村長は意見書を添えて県に送付する。県は乱開発防止の内部マニュアルがあるが生かされていない。業者がウソの説明をして地主から同意書を取ったケースも。今回の業者は以前にも土取りで摘発を受けたことがある。
採取した土は、生コンの原料になるが、それ以上に儲かるのが削った跡を処分場として利用すること。大量産廃が生まれる大都市名古屋に隣接していることも影響。
◆6/17 「所有者から不安の声 続々」
長久手町が、同町内の山林所有者約2800人に「緑地保護のお願い」の手紙を出した。「土を取らせてくれ。同意をしてくれ」という業者からの話に不安を感じる人も多い。土取りを隠れ蓑に、不法投棄が明らかになったが、業者の中には住民との話し合いに応じる動きも出ている。ある業者は住民に説明会を開き、「違法行為は行わない。いつでも現場を見て欲しい」と約束したという。
◆8/4 「乱開発から緑守って」
地元住民で作る「長久手の緑を守る会」が、乱開発から緑を守ってと2079人の署名を町長と議長に提出した。
◆9/13 主犯格ら5人逮捕。不法投棄を指示
2005年日本国際博覧会(愛知万博)会場予定地の愛知青少年公園西隣の愛知県長久手町岩作(やざこ)三ケ峯の土取り現場に、大量の産業廃棄物が無許可で埋め立てられていた事件で、愛知県警生活経済課環境犯罪対策室と愛知、豊田、瀬戸署などは13日、廃棄物処理法違反(無許可処分)の疑いで、廃棄物を受け入れていた名古屋市名東区香流三の産業廃棄物処理会社「ミトモ建材」を摘発。同社の実質的経営者で事件の主犯格とみられる同所、御手洗五郎容疑者(51)ら5人を逮捕した。逮捕されたのは、御手洗容疑者と、いずれも同社重機運転手の柏厚(41)=同県瀬戸市菱野町、松原英郎(61)=岐阜県多治見市市之倉町、但田鉄雄(65)=名東区石が根町、加藤和彦(41)=瀬戸市ひまわり台一=の5人。同事件での逮捕者は20人となった。調べでは、御手洗容疑者らは共謀のうえ、今年4月12日から同17日の14回にわたって長久手町岩作の無許可の産廃処分場で解体廃材の木くずなど主に産業廃棄物計134トンを運搬業者ら15人(いずれも起訴済み)に不法投棄させ、6月15日までに埋め立て処分した疑い。処分料として計25万3千円を受け取っていた。御手洗容疑者は1995(平成7)年に無許可で土取り行為をしたとして豊田署に砂防法違反容疑で逮捕され、翌年に懲役1年、執行猶予5年の判決を受けている。今回の事件でも現場で廃棄物の埋め立て方法を指示したり、排出側との交渉にあたっていたことが分かっており、同対策室などでは事件の全容解明を目指す。
★テレビでは、「50万‰の廃棄物を埋め立て、十数億円の処理費を受け取っていた模様」とも報道された。
★排出側の供述から総量は少なくとも約7千トンにのぼるとも報道。
◆9/30 愛知万博会場予定地 産廃不法投棄で愛知県が改善命令
万博会場予定地近くにある愛知県長久手町の土砂採取場に産業廃棄物を不法投棄したとして、廃棄物処理法違反の罪で起訴された産廃処理業者「伊藤重機」(本社・名古屋市)に対し、愛知県は29日、同法に基づき、不法投棄した木くずなどを今年11月30日までに撤去、適正に処分するよう改善命令を出した。
◆10/13 「愛知万博会場周辺 止まらぬ乱開発」自然との共生は可能か
主犯格の産廃業者らが起訴され、操作はほぼ終結した。名古屋近郊で続く乱開発にブレーキをかけようとの気運も高まったが、現実には豊かな丘陵地を虫食いにする山林伐採は今も進行している。長久手町に隣接する瀬戸市では、市街化調整区域が広く、土取り跡に産廃が捨てられるなどの問題が続いた。市として「土地利用調整条例」を今年7月に施行したが、効果はまだわからないと。