Last Update: 2000/ 4/ 7  

2000/ 4/ 6 発行:「ゴミネット通信」51号より
 
 

★「廃プラスチック容器包装材の行方」(その2)
 


(笠 原)
〜 具体的な分別となると 〜
 
 容器包装リサイクル法が平成12年度から新たに市町村に収集対象品目として「その他プラスチック容器包装」と「その他紙容器包装」を付け加えるという話は前号でしたが、実際に12年度からプラスチックを収集しようとしている市町村では具体的にどうやって分別を考えていったらよいかに苦慮している。今回の報告は具体的な現場での問題点を述べてみる。
 
●最終的受け皿 *****
 
 プラスチックをどのように分別するのかを決めるのには、最終的にどのように処理されていくのかによるため最終処理の話から述べていく。
 
 愛知県下では12年度よりプラスチックの収集を始める市町村はいくつかあるが、例えば、名古屋市、東浦町、日進市に関しては下記のメーカーが引き取りを行なうことになっている。





 

名古屋市

新日本製鉄・名古屋製鉄所
東浦町
 
    〃     (プラスチック包装材)
エフピコ輪之内工場(白色トレイ)
日進市
 
日本鋼管
 
★白色トレイとその他のプラスチックを混合収集するか別途分別するかは、自治体の選択である。
 
 新日本製鉄では集められたプラスチックはコークス炉化学原料化法という方法で再商品化を行なう。集められたプラスチックは異物を除去し固形化されてコークス炉に投入され、ガス、液体、個体に分離される。ガスは発電用、液体はプラスチックの原料、個体はコークスとして溶鉱炉に投入され還元材として利用される。
 
 日本鋼管では、集められたプラスチックは新日鉄とは違い全量溶鉱炉に投入され、高炉還元材としてコークスの代替品となる。
 
 白色トレイに関しては、エフピコはトレイを溶かして原料に戻しそれから再びトレイを製造している。
 トレイメーカーは他にリスパックという工場が愛知県下にあり、ここでは集められたトレイは油化されたり、溶かしてプラスチック原料として再利用している。
 
 製鉄所では以上述べたように、燃料、還元材、プラスチック原料となり、トレイ工場では、トレイの原料、油化、プラスチック原料となる。ここで当然のことながら、受け入れメーカー側としては受け入れ基準というものを要求してくる。トレイはきれいに洗い、渇き切った状態で、異物が付着していないこと。その他のプラスチックにおいても、水気を極カ除き、食物、内容物が付着していないこと等々。以上のようなことを前提に実際に分別した場合どんな問題点が出てくるか次に述べる。
 
●分別の問題点 *****
 
 東浦町は平成12年12月より白色トレイとその他プラスチック容器包装を分別収集する事になっているが、それに先立ち平成12年3月に約50世帯のひとに一週間、家庭内で発生するプラスチック容器包装材の徹底分別モニターをお願いした。分別の前提は、容器包装の対象となるものすぺて分別し、異物の付着のないようきれいに水洗いすることということで、終了後に主に以下のような意見が出された。
 
 
以上の中から特筆しておくべきことを2・3あげておく。
 
洗いにくいものが比較的多く、ラップやチューブ物、極端に少さい容器は対象物から外すほうがよいのではないかと感じる。すでに収集を始めている日進市で発生しているプラスチックの組成分析をすると、トレイ、発泡スチロール、レジ袋、その他の袋、ポトル容器、パック類(卵パックなど)などで全体の7〜8割ぐらいを占めている。(重量)ボトル容器にしても洗剤、シャンプー、リンス、サラダ油、ソースなどでやはり全体の7〜8割を占めている。薬物、トイレ洗浄剤などは省いてもよいのではないか。
 
◆上記のものを省くことによって、水洗いの量も減り、汚染の影響も減少するであろう。
 
容器包装の対象になっているのかどうかの疑問
例えば、ラミネ一トの菓子袋(アルミ箔とのラミネート)は対象にならない。
カセットテープのケースは対象になるが、CDのケースは対象外。理由はカセットの場合はケースでの保護は必要ないが、CDの場合は保護が必要。何だか良く解からないのが正直なところである。
 
 プラスチックの原料になるにしろ、燃料になるにしろ、半永久的に使っていけるビールビンや一升瓶のような容器に戻っていかない限り問題は解決しない。
 
 
<処分場問題>
★愛知県との懇談会・報告集(Byゴミネット)
 


(吉川)
 
 地域の問題を持ち寄り、「愛知県環境部廃棄物対策課」と懇談会を開きました。その中から要点をピックアップしてみました。
 
99年12月15日 会員5名参加。「各地の現状報告と質問」
9年12月24日 15日の未回答部分について、説明を聞く。
00年 2月14日
 
「一般廃棄物最終処分場について」公文書公開がされ、それに関する質問。
00年 2月23日 「広域処分場問題&県条例」について質問。
 
 
 
<一般廃棄物処理について>▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

Q.県としての一般廃棄物最終処分場への立入調査は?内容は?回数は?

県).維持管理の指導をし、水質や搬入物の台帳チェックをしている。回数は決められていないが、年に数回行っている。
 

Q.県下の一般廃棄物最終処分場の形態(素掘り? シート使用? 管理型?)・規模・埋立品目を知りたい。

県).公文書公開の請求をして下さい。
 





 


 
平成9年6月に実施された「厚生省による一般廃棄物最終処分場の調査書」一式が2/14に情報公開された。
 


 
 

Q.「容器包装リサイクル法」の市町村での進行状況と県の指導状況は?

県).リサイクル工場が能率アップするようにしなければならない。「容リ法のH12年完全実施」については、市町村の負担割合は平成9年から比べて軽減する。「家電リサイクル法」についても市町村の負担は少なくなっている。勧めいく。
 





 
 



 



 
<感想>何を根拠に市町村負担が減るというのであろう?
私たちの容リ法批判や疑問の発言には、県にとっては意外だったようだった。
 
 

Q.「藤前干潟埋立断念」後の「広域処分場計画」(弥富町)急浮上の経緯は?

県)
.広域処理については、以前から「51自治体協議会」で、名古屋市が中心になり話し合いがされてきた。藤前断念で持ち上がったものではない。県としては、藤前干潟代替地問題として協力していく。
 



 
<感想>「藤前干潟がダメで、木曽川河口ならいいのか?」論議する必要があります。干潟を守る運動は、鳥だけのためではなかったはず。
 
 
 
<産業廃棄物処理について>▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

Q.「長久手不法投棄問題」(「通信」前号参照)の現状と今後については?

.警察への住民の通報と24時間の警察監視で摘発できた。捜査権がない県では、警察ほど動けないし、摘発もできない。水質調査は、2〜3ヶ所の水たまりと川の2ヶ所で実施した。ダイオキシン調査については、人間が住む場所ではないから調査しない。基準がないものについては、対処しない。調べても意味がない。
 

Q.砂防法絡みの不法投棄問題、今後の対策は?
県)
.長久手の件では、瀬戸保健所と名古屋土木事務所が連絡をとりながら対応した。
 
 

<ゴミネットからの発言>
 以前から砂防法絡みの産廃問題は起きている。教訓が生かされていないのではないか?岡崎市の産廃最終処分場問題も砂防法がらみと聞いている。
 

 「砂防法」とは?
 豪雨等による山崩れ、河床の浸食等の現象に伴う土砂災害を防ぐため、一定の行為を禁止・制限する地域を指定し、開発には県の許可を必要とする。(しかし、土砂採取後に、廃棄物が 埋められる事例が多くある。)
 
 

Q.野焼きによる「焼却灰野積み」の指導は?

県)
.野積み焼却灰については、成分調査をして適正な処分をするよう指導している。
 

Q.処理施設に対する「行政命令・指導」等について三重県では情報公開されているが、愛知県では非公開となっている。その理由は?

.「今後業者の協力が得られなくなる可能性がある」ということで、非公開となった。三重県では公開されているが、県ごとに考え方は違う。
 






 



 
 大きく前進!! 左記の回答後、三重県の村田弁護士請求で非公開となった「愛知県内の産廃処分場の水質調査結果」が、裁判により「公開すべき」と判断されました。
 



 

Q.法律上、産廃業者以外には行政命令が出せず、指導しかできないと県は言うが、それならば対応をどうするのか?

県)
.業者以外の責任については、排出者責任ということで厚生省・国会で調整中である。それを待って欲しい。
 

Q.市町村では、県より厳しい条例制定をしている所がある。例えば、岡崎市では「住宅地・水源地に近いところは避ける」という処分場立地条件があるが、県の見解は?

県)
.4月頃からの施行と聞いている。もし、岡崎市がさかのぼって条例を適用すると言えば、今問題になっている最終処分場にも適用されることとなる。
 







 



 
<メモ>住宅地・学校に近くに「産廃最終処分場が計画」。地元自治会が反対運動展開中。岡崎市条例制定のきっかけとなった。
 



 

Q.静岡県条例では、プラスチックはもちろん紙・木材もが屋外焼却禁止とされているが、愛知県での条例改正の予定は?

県)
.現在条例の見直し中である。静岡県の屋外焼却への規制が今年(H11年)から始まったことは知らなかった。
 






 




 
<メモ>2/23、「環境政策課」を訪れ、条例改正に含めていただきたい事項があることを話したところ、「条例に反映できるかどうかは約束はできないが、現場の声を聞かせて欲しい」と。
 




 
 
<その他環境汚染について>▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△

Q.庄内川からPCBが検出されたが、今後の対策は?

県)
.汚染の原因は、以前使われた物が沈澱層に蓄積している物で、新たな汚染
  ではないと考える。濃度も問題となるような物ではない。よって、発生源を絞り
  込むような調査はしない。
 
 
 
 「廃掃法」「ダイオキシン特別措置法」など法の整備は随分進みました。しかし、その法が守られているかを監視するシステムは完璧に欠けています。最近では、炉メーカー「荏原製作所・藤沢工場(自家用焼却炉)」が、環境基準の8100倍ものダイオキシンを含む汚水を、7年間に渡り河川へ流し続けていたことが判明。施設への県の現地調査はどうなっていたのでしょう?この事件は、氷山の一角にすぎないということでしょう。
 
 また、2年前の県による「野焼き一斉パトロール」時には、野焼きも随分減りました。しかし、最近、また増える傾向にあります。家庭でのゴミ焼却・事業所内でのゴミ焼却も然りです。愛知県の「公害防止条例」にも、屋外焼却に関する規制の条項制定の必要性も感じます。(吉川)
 
 
<処分場問題>
★愛知県との懇談会・報告集(By愛知県消費者大会実行委員会)
 


(吉川)
 
 3月23日、過去何度も担当部署の出席を求めている経緯があるそうですが、今年も改善はなく、県側「消費生活課」出席で、資料配布もなく、「申し入れ事項に対する回答の読み上げ」の形で進められました。担当者不在では再質問することもできず、更に疑問点をいくつも抱える結果となってしまいました。このような形では「懇談会」とは言えないと、県の対応の改善も当日お願いしました。以下、ごみ問題についてのまとめです。(吉川)
 

1.小中学校以外の学校や病院などの公共施設での「ゴミ焼却」を禁止してください。

廃棄物対策課)
.減量化・資源化の指導やプラスチックを焼却しないよう指導をしている。「廃掃法」の改正、「ダイオキシン類特別措置法」も整備された。引き続き指導していきたい。
教育委員会).県立高校については、禁止している。
衛生部医務課).県立病院では、焼却していない。
 
 

2.学校、病院を含む公共施設での塩ビ製品の使用を禁止し、無害な代替品に切り換えてください。

廃棄物対策課)
.プラスチックを焼却しないよう指導をしている。引き続き指導していきたい。
衛生部医務課).塩ビ製品が禁止されれば、無害な代替品に換えていきたい。
 

3.プラスチック製品の材質表示(特に塩ビ)の義務づけを国に要望してください。

商工部)
.県としては、国としての議論を見守っていく。プラスチック業界には、表示の要請をしていく。

 

4.住民にだけに処理コストを負担させる「家庭ゴミ有料化」や単純なごみの有料化では、生産段階から「ゴミになりにくいもの・リサイクルしやすいもの作り」などへの転換が望めません。事業者と消費者が公平な負担をするしくみ作りや法の整備を国に要請してください。

廃棄物対策課)
.市民は分別、行政は分別収集、企業は再商品化の役目があり、「家電リサイクル法」では、その役目が規定されている。
商工部).リサイクルの促進、リサイクルしやすい商品作りを啓発している。
 

ご存じですか?
「ダイオキシン類対策特別措置法」
「炉の床面積が0.5uの焼却炉」も、届出が必要。
・排ガスの処理、ダイオキシン濃度等についての報告
・ダイオキシン発生抑制のための構造、運転管理
等が義務づけられました。
(工場又は事業場/既存・新設共)

75p×75pで、0.5uを超えます。届出はスムーズにされているのでしょ
うか? また、家庭焼却炉が対象外というのも納得できないこと。家庭でもあ
るんですよね、大きな炉が。
 
      学校などの公共施設も届出対象です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
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