(北海道新聞2000.2.8)
道立北オホーツク自然公園に指定されるベニヤ原生花園近くの町内智福地区に、産業廃棄物処分場の建設が計画されていた問題で、市川昇町長は「住民の反対を押し切ってやることはしたくない」と理由を述べ、反対を明確にしていた地元、頓別地区の住民感情に配慮したと建設断念を説明。
処分場を計画する浜頓別町建設廃材処理協同組合(寺沢照夫理事長、16社)は今月1日、道知事に届け出ていた処分場の建設に関する事前協議書を取り下げた。
この問題をめぐっては、町が今年一月に頓別地区で住民説明会を開いた際、基幹産業である漁業被害への懸念から反対意見が相次いだ。今回の計画断念はこうした流れを受けたもので、市川町長は「海岸近くに処分場が建設されることで、頓別地区の住民から水産物への風評被害を心配する声が相当あった」と述べた。
同協同組合と町は今後、新たな処分場建設地の選定に入る。ただ、「今後は地元住民にきちんと説明しながらやっていきたい」と市川町長は強調した。
智福地区への産業廃棄物処分場建設計画は、砂を採取した跡地に管理型(3万4千平方m)と安定型(2万8千3百平方m)の二つの処分場を建設するもの。現在、使用している宇曽丹地区の処分場が年内で満杯になる見通しであることに加え、ダイオキシンの排出規制に伴い、現焼却炉が2002年11月で使えなくなることから、新たな処分場が必要となっていた。