(毎日新聞2000.02.10)
環境庁は10日、ダイオキシンや悪臭の発生源となる野焼きの規制強化策を中央環境審議会に諮問した。環境庁は3月上旬に答申を受け、悪臭防止法の改正案を今国会に提出する。「住居の集合地域」に限定して野焼きを禁止している現行の規制を改め、地域を問わずに禁止する方針だ。
現在の悪臭防止法は、住居の集合地域で、ゴムや皮革、合成樹脂など燃焼に伴って悪臭が生じる物をみだりに野外で多量に焼却してはならないとしている。改正案では対象地域の限定をせず、住民の生活環境に支障をきたす野焼きを全面禁止する。野積みされている中古タイヤなどが失火など意図せずに燃えた場合も、事業者の管理責任を問う規定を設け、違反者には罰則も科す。
野焼きについては、厚生省も廃棄物処理法を改正して禁止する方針だが、対象は廃棄物に限定される。再利用が予定されている中古タイヤなどは廃棄物とはみなされないため、環境庁は厚生省と連携して規制を強化することにした。
環境庁の1998年度の調査によると、野焼きに関する全国の悪臭苦情件数は約5900件で前年度の5・6倍に急増した。
97年の廃棄物処理法改正で廃棄物最終処分場の設置基準や焼却炉のダイオキシン排出基準が強化されたことで新設が難しくなり、野焼きが増えたことなどが原因で、対策強化が求められていた。