環境庁は十九日、ダイオキシン汚染や悪臭の原因となる「野焼き」への規制を大幅に強化する方針を固めた。「住居集合地域」に限定して野焼きを禁止している悪臭防止法を改正し、地域を問わず全面禁止することなどが内容で、二十日開会の通常国会に改正法案を提出する。改正に当たり、同庁は野焼きに対し罰則を設けることも検討する。
野焼きについては、厚生省も廃棄物の適正処理の一環として、廃棄物処理法を改正し、禁止する方針だが、同法改正だけでカバーできない部分もあるため、環境庁は同省と調整の上、規制強化を図る。
現行の悪臭防止法は、ゴムや合成樹脂などを野外で多量に焼却することを住居集合地域に限って禁止しているだけで、罰則もない。金属を再利用する目的で焼くような場合は、廃棄物処理法の規制が適用されず、電線や家電製品、自動車を野焼きするケースが目立ち、野放し状態だった。
環境庁が実施した一九九八年度の悪臭に関する全国調査では、野焼きに関する苦情が一挙に前年度の六倍近い約五千九百件に達するなど、問題は深刻化。このため、同庁は厚生省と歩調を合わせ、野焼き行為は地域を問わず禁止する規制強化に踏み切ることにした。
田んぼでの稲わら焼きなどは、通常の規模なら規制対象外とするものの、大規模なケースでの煙の問題をどう扱うかは今後、検討するとしている。地方自治体では、広島県と宮崎県が九九年三月に条例を改正し、野焼きを禁止した。