厚生省は、増え続ける廃棄物の野焼きについて、法律で明確に禁止し、違反者に罰則を科す方針を固めた。
大量に集めた廃棄物を屋外で燃やす野焼きは、ダイオキシン類が発生するほか、煙や臭いなど周辺住民や環境に被害が出ており、不安や不満を訴える声があがっていた。現行の廃棄物処理法では、野焼きの禁止が規定されていない。
現行の廃棄物処理法では、「廃棄物を焼却するときは、焼却設備を用いて焼却すること」が、処理基準として施行令で定められているだけ。このため、処理基準違反となり、改善命令の対象となっていた。しかし、改善命令は行政措置のため、効果が薄かった。
また、無許可業者が産業廃棄物を野焼きした場合や、事業者が事業系の一般廃棄物を野焼きした場合などは、処理基準が適用されないため、野焼きがわかっても、改善命令を出すこともできなかった。
25都道府県で野焼きを規制する条例があるが、罰則がなく、取り締まりの実効はあがっていない。
厚生省は通常国会西方の改正案を提出する予定だ。野焼きは、1998年度は前年の約1.4倍にも増。都道府県が把握している野焼きは、5,385件。確認できただけでも約4万tに登。
罰則は、1年以下の懲役あるいは300万円以下の罰金、といった内容で検討している。廃材を用いてのたき火、農作業の凍霜害防止や稲わらの野焼きなど、社会慣習上のやむを得ない場合の野焼きは、対象外。