Last Update : 2000/ 8/15
 
「あいちの環境を考える仲間たち」のホームページ
 
★豊田市「枝下」に関し、公開質問状★
 
 
【コメント】
 私たちは、それぞれの地域で処分場問題に取り組んでいます。
 「枝下」の全国最悪のダイオキシン排出は、氷山の一角に思えてなりません。日頃より、違法な行為に対し保健所へ通報をしたり、保健所へ出向いてお願いしたり、県へも直接お願いに伺った事も有ります。しかし、状況は一向に改善されず、今回の「枝下」のマスコミ報道により、「あの施設は大丈夫だろうか?」「あの黒煙は?」「あの臭いは?」「あのゴミの山は?」と更に不安がつのる思いでおります。
 法の整備が進みながらも、なぜ現場が改善されないのか?私たちは不思議でなりません。
 今年も愛知県に対し廃棄物処理に関する行政指導・命令の公文書開示請求を行いましたが、非公開(三重・岐阜では公開)となり、私たちの行動がどのように生かされているのか、保健所は何をしてくれているのかをも知ることが大変難しい状態にあります。
 何が原因で、違法行為が頻繁に起こるのでしょう?県の権限に何か足りないものがあるのでしょうか?足りないのであれば、それを補うための法律整備をすれば良いのではないでしょうか?いつまでも、取り締まれない理由ばかりを述べるのではなく、取り締まるにはどうしたらいいのかという前向きの姿勢で私たちに接していただきたく、今回の質問状を提出する事にしました。
あいちゴミ仲間ネットワーク会議参加団体
「海部農業と暮らしを守る会」・「水と緑を守る会・岡崎」
 

 
● 質問状の内容
 
平成12年8月4日
公開質問状
 
愛知県知事 神田 真秋 殿
 
あいちゴミ仲間ネットワーク会議
 代表:岩月 宏子
オンブズマン愛知・廃棄物部会
部会長:森 はるお
 弁護士:福島 啓氏
 
 この度、業者自らのダイオキシン測定で基準内の30ナノと報告されていた豊田市の産業廃棄物処理施設「枝下」の排ガスから、行政による調査で基準値の44倍(3500ナノ)が検出され、各地域で同じような施設を抱える市民から不安の声が届いています。私たちは、環境と健康を守るため、行政と市民が手を結び問題解決に力を注がねばならないと思っています。今のシステムに何が欠け、市民としてできる事は何かを考える糸口にしたいと思います。下記の質問にお答え頂きますようお願い申し上げます。
 尚、質問及び回答は、報道機関にも公開予定でおります。8月15日までにご回答頂きますようお願い致します。
 
−−−−−−−< 質    問 >−−−−−−−
 
●豊田市の産廃処理施設「枝下」の問題について伺います。
 
 
●県全域の問題についての質問です。市民からの情報への対応について伺います。
 

 
● 質問状に対する回答

●豊田市の産業廃棄物処理施設「枝下」の問題について伺います。
1.以前から市民からの苦情が寄せられていたと聞いています。県は、このような市民の苦情にどのように答えてきましたか?
 
【 回 答 】
苦情に対しては、保健所職員が立入検査を行い、事実関係を確認した上で、不適正な事項が確認された場合には、事業者に対して是正を指導しました。

2.県は、このような違法行為が何故起きたと考えますか?
 
【 回 答 】
事業者が焼却施設の適正な維持管理を行わなかったことが原因しているのではないかと考えております。

3.県に権限が不足していると考えるならば、どのような権限が不足していると考えますか?
 
【 回 答 】
このような違法行為は、基本的には経営者の資質の問題によるものが大きいのではないかと考えております。

4.焼却処理業の許可を出すにあたり、市民からの苦情の解決や指導の改善状況の確認は行われましたか?確認方法は?改善状況は?
 
【 回 答 】
苦情の申し出があった場合には、保健所職員が立入検査を行い、事実関係を確認した上で、木適正な事項が確認された場合には、事業者に対して是正を指導しました。苦情の解決や指導の改善状況についても、保健所職員の立入検査により確認しました。

●県全域の問題についての質問です。市民からの情報への対応について伺います。
5.市民と行政が共に手を結び、環境を監視することの必要性を感じますか?また、市民からの提供された情報が充分に廃棄物行政に生かされていると思いますか?
 
【 回 答 】
環境の監視は、行政のみでできることではありませんので、県民からの情報提供も重
要な手段であると認識しております。
産業廃棄物の不適正処理に係る情報収集のため、昨年7月1日から専用のファックス(052−953−7776)を環境部廃棄物対策課内に設置し、県民からの的確かつ迅速な情報収集に努めております。
こうして寄せられた情報に対しては、関係保健所や関係機関と協力し、必要な対応を
取っておりますことから、県民からの情報が廃棄物行政に生かされていると考えております。

6.閉庁時の市民の苦情に、迅速に対応してくれるシステムはありますか?あるとすれば、市民はどの機関に連絡すればよいですか?
 
【 回 答 】
 各保健所・支所には宿日直代務員がおり、閉庁時でも苦情を受け付けておりますので、各保健所・支所へご連絡ください。
 なお、限られた現行体制の中で、閉庁時のすべての苦情に即座に対応することは困難な面もありますが、苦情の内容により、必要があると考えられる場合には、担当の職員が対応することとなっております。
 
【コメント】
 本日(8月15日)、回答を受け取ったが、地域で廃棄物問題に取り組む者として、あまりの行政との温度差に落胆!!
 今回の枝下の問題は、「業者の資質の問題で起きた」と県は答えた。そして、「許可を与えるにあたっての要件として”資質”は含まれない。資質を含めるのは無理だ」とも。施設等の要件を満たしていれば「許可」を与え、そのあと行政命令などを出して厳しく取り締まっていく方針と言う。しかし、監視するシステム・情報を収集するシステム・取り締まるシステムもまったく不十分なのが、現実である。法が整備されても、その法を守っているかを見極めるシステムができていない。
 今まで、違法行為を繰り返した人たちにも県は許可を与える。では、その脇で暮らす人はどうすればいいのだろう?その光景が見えているのであろうか?私は、許可の乱発こそ、問題だと思えてならない。
 
 閉庁時の問題も、今のシステムの不十分さを訴えながら質問状を渡した。しかし、今のシステム以上のものを構築しようという姿勢はみられない。私の訴えは届かなかったようである。問題を抱える地域住民は、気の遠くなるような訴えを繰り返すしか方法はないのであろうか?
 

 
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