<99.12.22/伊勢新聞より> 業者が、海山町役場へ
中部国際空港建設に伴う埋め立て用土砂を三重県北牟婁郡海山町で計画している前田建設工業(東京都)と水谷建設(桑名市)は、21日午後、海山町役場を訪れ、町長に土砂採取計画書を含む「町有地払い下げ願い書」を提出、協力を求めた。
同町引本湾東岸の網代地区山林(18.8f)から550万立方bの土砂の採取を計画。予定地は町有地(8.45f)が最大で、唯一売却同意に至っていない。
山林所有者のひとり浜中さんも役場を訪れ、計画を中止するよう企業側に文書を手渡した。「地権者1人でも反対があったら計画から撤退すると言ったので、みんなが助かると思い、山を売らなかった」「私を地権者から外し、反対者がいないと言っているが、私の山は3方向から土砂を削られ、山の機能をなくす」「一流企業として責任ある行動をとってください」−などとしている。浜中さん所有の山は、当初計画に含まれていたが、売却を拒否し続けたため計画場所から除かれた。3方向から削られ、崖に突き出た形になる。
<99.12.22/伊勢新聞より> 土地も立木もトラストで対処
村田弁護士と浜中さんが、記者会見をしました。
浜中さんの土地の一部を7人に売却し地権者を増やす「トラスト方式で計画に対抗する」と発表。山林のヒノキを希望者に売却する「立木トラスト」も、同時に募集した。
村田弁護士は、「採取場所とされる、員弁郡藤原町と度会郡南島町は既存の採石場。愛知県幡豆郡は都市開発計画の元に土砂を供給する。海山町だけは、単なる森林破壊。漁業への影響などをみると代替地を考えるべきと思う」と話した。
また、「沿岸開発のために一度、町有地を売ると、今後の開発に歯止めがきかなくなる」とし、「町運営で100年の計を考えると、本来、町が独自に環境アセス(調査・査定)を実施し、町民の意思を確認するのが筋」と述べた。
若い養殖業者などが計画反対を表明、町全戸にチラシを配布したり、署名運動を展開している。
<00. 1.14/各社新聞より> 反対署名5300人(有権者の60%)を提出
引本湾でタイやのり養殖などを営む若手漁業者を中心とした自然を守る会は、採取値に含まれる町有地を売らないように求める署名を提出した。
「町外業者の利益のために自然を破壊して町民の財産である町有地を売る理由は何もない」「自らの漁業に努力することで引本湾の反映を取り戻そう」と趣意書を添え署名を集めた。
<00. 1.17/朝日新聞より> 膨らむ環境への懸念
<目前に養殖漁場>
湾内一体には、ハマチやマダイを養殖するいかだか点在している。
企業体によると、18.5fの予定地のうち、15.5fから約550万立方bを採取。運搬船で約140キロ離れた愛知県常滑市沖に運ぶという。
<月内に議会に>
町行政では、濁水や採取作業による振動、騒音など、周辺環境への影響を調べている。町長は「残る課題は、海への濁水の流入など、環境対策がしっかりできているかどうかだ。慎重に検討し、今月中には、町有地の売却を議会に諮りたい」と。
<賛否割れる漁協>
海山漁協は昨年9月、組合員の投票を実施し7割を超える賛成で同意。迷惑料として、共同体が漁協や組合員に総額約6億5千万円の補償を払うことで合意したという。
だが、海の濁水汚染や、狭い湾内を大型運搬船が往来することに不安を抱き、計画の反対や見直しを求める組合員の養殖業者は少なくない。
<00. 1.17/伊勢新聞より> 立木トラスト、賛同者94人
立木の所有者になったのは、全国から94人。同町住民をはじめ、名古屋・大阪・神戸・静岡・北九州など。
前田会長は土砂採取の影響を「海に濁水が流れ込む環境汚染はもちろんだが、山が削られると風の道が変わり、周囲の山の木が枯れて土地が死んでいく」と述べた。
★トラストの会は協力者を公募している。