● 名古屋市、企業から報告の土壌汚染4件、未公表!
<2000.5/08 中日新聞より>
名古屋市が企業から報告を受けていた有害物質による工場敷地内の土壌汚染7件のうち、現在も4件が公表されていないことが8日分かった。市は未公表の理由について、市内では地下水の飲料水としての利用がない点などを挙げているが、報告後の汚染濃度などの独自調査はしておらず、物質名や濃度なども現時点では公表できないとしている。
名古屋市公害対策部によると、同市には1984(昭和59)年以降、市内の企業や工場から土壌汚染の自主報告が7件あり、うち同年に報告があった1件と昨年6月と4月の2件、今年3月の1件の計4件が未公表になっている。4件はいずれも操業中の工場で、敷地内や隣地との境界から汚染物質が検出された。
同部は浄化などの指導に当たったが、汚染濃度や範囲などの独自調査はしていない。
自治体が企業から土壌汚染などの報告を受けた場合、住民への公表や再調査の法的な義務づけはなく、名古屋市も環境庁(当時)が99年1月にまとめた指針に基づき対応しているという。同部は未公表の理由について
▽企業の報告には地下水の汚染もあるが、飲料水としての利用がないため影響は少ない。
▽市内には数多くの事業者が存在するため、報告企業が汚染源であるかの判断が難しい。
とし、企業名や所在地、物質名など具体的な情報についても「9日から各企業のヒアリングを行うので結果を待って明らかにしたい」(同部)と公表を避けている。
<5/8 東海テレビの報道>
名古屋市内にある企業の工場4ヶ所で、発ガン性物質のテトラクロロエチレンなどが土壌から検出されていたことが明らかになりました。名古屋市はこの事実を把握していながら、「企業の自主的な報告のため企業名などは発表できない」として、情報を公開していません。土壌汚染などが明らかになったのは名古屋市内4ヶ所の工場で、自主的に行った環境調査の結果を名古屋市に報告しました。報告では4ヶ所の工場の敷地内から発ガン性物質のテトラクロロエチレンなどが最高で環境基準の180倍の値で検出されました。しかし、名古屋市は、住民には影響がないと判断、敷地外の調査はせず、これまで公表を控えてきました。
● 未公表の4社判明!(2社は、公表)!
<5/12 中日新聞より>
未公表の2社については、11日の記者会見で判明した。
△ブラザー工業倉庫敷地(瑞穂区桃園町)
△住友電工名古屋イゲタロイ工場(港区菊住1)
△鳴海製陶(緑区鳴海町伝治山)
△大同メタル工業名古屋事業所(北区猿投町)
4事業所の自主調査で検出されたのは発ガン性のあるトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなど。いずれも工場敷地内の土壌や地下水から検出された。各事業所は、1989(H1)から今年3月にかけ、市公害対策課に報告していた。
●ブラザー工業は会見で、
市に報告していた倉庫敷地のほか、
隣接する桃園第1、第2工場敷地と、
港工場(港区港明)敷地から
昨秋、最高で環境基準の500倍のトリクロロエチレンなどを検出。
97年には、桃園第3工場から300倍の六価クロムを検出していたことを新たに明らかにした。六価クロムの敷地外への流出を防ぐ対策は既に終えているとした。これらは14日に市に追加報告するという。
●住友電工も会見で、(環境基準の7500倍のトリクロロエチレン検出)
地下水から有害物質を除去する対策を取ったことを明らかにした。
●鳴海製陶は取材に対し、
敷地内の南側が汚染源で、西向きに流れる地下水脈の一部も汚染されたとの調査結果を説明。97年から浄化処理を始めた結果、89年の調査で環境基準の数十倍だったトリクロロエチレンが、昨年は3倍程度に低下したとしている。
●大同メタルは、
犬山市の工場から有害物質が検出されたのを機に名古屋事業所の土壌を調査。同様の物質を検出したという。
市は、ブラザーと住友電工分については、11日に発表したが、他の2社については「同意がない」と発表していない。
◆名古屋の土壌汚染、さらに9件未公表。7カ所が住宅用地に
<5/13 >
企業からの土壌汚染の自主報告四件を未公表にしていた名古屋市が自主報告とは別に、9件の土壌汚染を把握しながら公表していなかったことが十二日、分かった。その多くは分譲マンションなどになっているが、住民らには知らせていなかった。同市は同日、今後は自主報告などで汚染を把握した場合、原則的に公表する方針を明らかにした。
新たな九件は市の土壌汚染対策指導要綱で工場の改変時に事業者に義務づけている土壌調査の結果から分かった。市公害対策課によると、要綱が施行された一九九九年五月から今年四月までに四十件の報告があり、うち九件で環境基準を超えるトリクロロエチレンや六価クロム、ヒ素などが検出された。
このうち六件は浄化処理で濃度が基準値以下に収まったが、地下水から最高五千三百倍のテトラクロロエチレンが検出された城野染工跡地(西区二方町)では、現在も基準値を二十七倍上回っている。また、今年に入ってから報告のあった愛知染色跡地(西区二方町)と高周波熱錬名古屋分工場跡地(南区豊一)は、現状の濃度を調査しているという。
『今後は原則公表』 市が方針
改変後の土地は主に不動産業者が買い取り、九カ所のうち七カ所が分譲マンションや住宅建設用地に充てられた。「改変後の土地所有者には有害物質が検出された事実を伝えてある」(同課)が、いずれも住民には公表していなかった。
要綱には公表を義務付ける規定はなく、越智俊彦環境局長は「今後は市の環境白書などで公表することも検討したい」としている。
一方、企業による自主報告分について越智局長は公表の遅れについて不適切な点があったとして陳謝。松原武久市長も「率直におわびしたい」とするコメントを発表した。
要綱に基づく報告で基準値以下に収まった六件は次の通り。
日本ポプリン染工場跡地(北区山田北町)▽春日染工所跡地(西区南堀越一)▽中部理工跡地(熱田区八番二)▽関絨跡地(守山区瀬古)▽丸永産業跡地(北区清水五)▽双葉金属跡地(中川区八熊三)
◆有害物質土壌・地下水汚染 最高値73倍だった
ブラザー工業=愛知 (当初発表と6倍の開き)
2001年5月16日掲載(読売新聞)
企業から土壌・地下水汚染の報告を受けながら名古屋市が公表しなかった問題に絡み、今月十一日に自社データを公表したブラザー工業港工場(港区港明一丁目)の地下水汚染の最高値が市に報告した最高値と六倍近くも食い違うことが分かり、市は十五日、改めて最高値が環境基準の七十三倍だったと公表した。
ブラザー工業が十一日の記者会見で公表したデータは、発がん性のあるトリクロロエチレンの分解過程でできる「シス―1、2―ジクロエチレン」が環境基準の約十二倍という内容だった。しかし、市に十四日に報告した内容から、会社発表時とデータに大きな食い違いがあることがわかった。
この違いについて同社は、「昨年一月に工場北側で調査した数値は十二倍で、九八年十一月に工場南側で調査した数値が七十三倍だった。意図的に隠したり数字を操作するつもりはなかったが、あわただしい会見の中で、結果的に低い数値の方を出してしまった」と釈明している。市には過去のものと最新のデータを交えて報告したが、市が検討した結果「最高値を出すべきだ」として、新しいデータを公表した。
ブラザー工業は「港工場では、過去三十年間、トリクロロエチレンを使用していないので、関連物質が検出されること自体がおかしい」と話しているが、市は同社にさらに詳しい調査をするよう指導した。
◆有害物質地下水汚染 3か所で井戸水採取
名古屋市が独自調査をスタート
5月17日
名古屋市は十六日、企業から土壌・地下水汚染の報告を受けながら内容を公表していなかった緑区鳴海町の鳴海製陶など企業三社の周辺民家の井戸三か所で、市独自の地下水調査をした。
鳴海製陶から約百五十メートル離れた地点の民家では、市公害対策課の職員が井戸水二百五十ccを採取した。この家では、井戸水は洗濯にしか使用していないといい、見たところは、無色無臭で普通の水と変わらないが、民家の主婦は「企業と市はもっと早く調査結果を公表すべきだったと思う」と健康への影響を心配していた。
鳴海製陶は、一九八九年まで約二十年間、発がん性の危険があるテトラクロロエチレンを使用、九八年三月の調査で、地下水から環境基準を最高千二百五十倍上回るテトラクロロエチレンが検出された。その後の安全対策で、数値は基準値まで下がっている。
しかし、周辺住宅への影響が心配されることから、市は鳴海製陶のほか、ブラザー工業本社(瑞穂区)と住電マグネットワイヤー(南区)の周辺でも民家の井戸を一か所ずつ調査した。残りの一社、大同メタル工業(北区)周辺の井戸の調査はすでに十四日に実施している。
採取した水は、市環境科学研究所で分析し、二週間後に結果が判明する。
市は今後、環境基準の五千三百倍のテトラクロロエチレンが検出された西区の染色工場跡地(現在は分譲マンション)でも地下水の調査をすることにしている。
◆基準2.4倍ヒ素検出 名古屋・西区工場跡隣接地
◆市が井戸10か所調査
6/7 読売新聞・掲載
名古屋市内の企業四社と工場跡地一か所から土壌、地下水汚染が相次いで見つかった問題で、同市公害対策課は六日、これらの事業所周辺の井戸計十か所を調査したところ、同市西区の染色工場「城野染工」跡地に隣接する井戸一か所から、環境基準の二・四倍にあたるヒ素が検出されたことを明らかにした。
城野染工跡地(約一万五千平方メートル)は現在、分譲マンションの建設場所などになっているが、これまでに地下五メートルの地下水から
環境基準の5300倍の発がん性物質テトラクロロエチレン
4.5倍のヒ素
土壌から8.2倍のヒ素などが見つかっている。
今回、ヒ素が検出されたのは、城野染工跡地の西側五十メートルにある繊維工場の井戸(深さ百三十二メートル)で、環境基準(一リットル中〇・〇一ミリ・グラム)を上回る〇・〇二四ミリ・グラムが検出された。しかし、同跡地の南東約百五十メートルの井戸からは検出されなかった。
同課は、重金属のヒ素は地下に浸透しにくいうえ、愛知県内の地層では環境基準の二、三倍のヒ素が自然的な要因で検出される調査結果が出ていることから、地下水汚染の可能性は低いとしている。井戸水はいずれも工業用か散水などに使用され、飲み水には使われていないという。
同課は今回の調査結果を各事業者に報告し、引き続き、地下水汚染の影響調査と処理対策をするよう指導していく方針。
一方、名古屋市教委の六日までの調査で、工場跡地を買収して建設した公立学校7校のうち5校に土壌汚染の心配があることが分かった。近く土壌調査をすることにしている。
7校のうち、左京山中(緑区)は化学工場の所有地だったことが判明。庄内小(西区)は化学工場跡地に建設された際、一部土の入れ替えをして汚染の心配はなかった。
しかし、ほかの5校については、建設時期が古いうえ、すでに廃業した企業もあって当時の状況を知るのが難しいことが分かった。
◆ 土壌汚染問題・公表基準定めた素案示す
工場跡地の土壌汚染については、これまで企業の自主的な発表に任せていましたが名古屋市は今後は原則公開する方針を表明。今日の素案では2つの方法が示され、
このうち名古屋市は
基準値をこえた土壌汚染が企業から報告された場合「市が内容をすみやかに公表する」ことを提案しました。
これに対し、専門家の委員からは
企業に責任を持たせるためにも「市は企業の自主発表を指導する」との案を支持する意見も出され、公表の基準をどうするか検討を急ぐ事になりました。(2001/05/29・東海テレビ)
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◆荒子川でまた有害物質
上流の泥が高濃度汚染
(2001.06.14 中日新聞)
名古屋市は13日、河川や井戸などを対象にした2000年度の水質常時監視結果をまとめた。河川の水質は横ばい傾向で推移しているが、荒子川ポンプ所(港区)では前年度に続き、環境基準を超える有害物質を検出した。
同ポンプ所では、環境基準(1リットル中0.004ミリグラム)の最大約8倍の「1、2−ジクロロエタン」を検出。前年度に続く検出のため汚染源を調べたところ、上流約4キロの北中島橋(中川区)付近の川底の泥が最大7500倍(土壌の環境基準に換算)の濃度で汚染されていた。汚染は橋を起点に上流と下流の各50メートルの範囲で今後、泥の除去などの対策を検討する。
井戸を対象にした地下水では南区星崎二など3カ所で、環境基準を超える六価クロムやトリクロロエチレンなどを検出。過去に基準値を超えたことがある井戸のうち、南区笠寺町など三カ所でヒ素や総水銀が再び検出され市は飲用に使わないよう所有者に指導した。
◆名古屋市 土壌汚染“即”公表へ
◇指導要綱 条例化、罰則規定も検討
2001年6月21日掲載(読売新聞)
名古屋市が市内の企業から土壌・地下水汚染の報告を受けながら公表せず批判を受けた問題で、同市は20日、環境基準を超える調査結果は企業による自主報告でも「内容を速やかに公表する」ことを原則とする内部基準を公表した。
内部基準によると、内容を原則公開にするのは、工場の移転など土地の改変に合わせて義務づけられる土壌調査や企業の自主的な汚染調査報告で、環境基準を超える結果が出た場合。さらに、これに基づいて名古屋市が周辺の環境調査を実施した場合や汚染の処理対策が終了した場合でも同様に公開する。
また、「環境基準を超える地下水汚染があり、周辺に汚染の恐れがある場合、市は地下水調査を行う」などの改善事項を、内部基準に新たに盛り込んだ。
内部基準はこの日の市議会総務環境委員会で報告されたが、出席した議員から「強制力をもたせるために条例化を図るべき」「今後のことを考えれば罰則規定も盛り込むべきだ」などの意見が出され、市環境局は「前向きに検討していきたい」と答弁した。
内部基準は「市土壌汚染対策指導要綱運用指針」として7月から運用される
◆名古屋市また未公表・旧通産省研究所で土壌汚染
2001年6月23日掲載(東海テレビ)
名古屋市北区の旧通産省の研究所の敷地で、水銀などの土壌汚染があったとの報告を受けていながら、名古屋市が3年前に報告があったことを忘れ、事実を伏せていた
ことが明らかになりました。土壌汚染があったのは名古屋市北区にある、旧通産省の所管で現在は独立行政法人となっている産業技術総合研究所の中部センターです。
名古屋市によりますと、平成9年から10年にかけ、この研究所の敷地から環境基準の34倍の水銀などが検出されました。汚染は住民への影響はないということですが、研究所が平成10年8月に名古屋市に汚染を報告していたにもかかわらず、名古屋市はこの文書の存在をきのうまで忘れていて、先月土壌汚染をまとめて明らかにした際にも、今回の汚染は含まれていませんでした。