呼 び か け 文
OECD EPR担当官
ファビウス・ヴァンチーニ Mr. Fabius Vancini さま
ヘンリク・ハルユラ Mr. Henrik Harjula さま
ヤーネ・キナストン Ms. Jane Kynaston さま
私たちは、行き詰まるごみ行政を憂える日本各地の市民です。OECDでは、参加各国がすでに5年を超えて拡大生産者責任(EPR)制度の整備に取り組まれ、それに基づいて欧州各国が大きな成果をあげておられます。このことを私たちは敬意の念をもって見守っております。今年の夏に発表される予定のEPR最終報告書にも期待を寄せています。
ごみ行政の現状を打破するため、EPR制度を日本政府が導入することを私たちは願っています。しかし現実にはそれに反する動きが出てきたため、実効力あるEPR制度が日本でも定着するよう、皆様にご協力いただきたくメールを差し上げました。
日本では今国会(会期 2000年1月20日から6月17日までの150日間)において、政府が「循環型社会基本法」案を上程する予定です。法案作りの過程でEPRを盛り込むことが検討されたようですが、原案にはEPRという言葉がなく、処理費用を生産者に負担させるという項目が欠如しています。
私たちはこの法案を見て、大きな失望を味わいました。環境庁の担当官は、下に引用した部分がEPRに相当すると主張していますが、どの文も主体が明確でなく、英語への翻訳に大きな支障がありました。また、ここには努力規定しかなく、この部分にEPRの理念が盛り込んであるように読みとることは不可能です。
このため、これからの日本のごみ処理と産業構造を決定するにふさわしい「基本法」にはならず、このままで推移すれば、従来の廃棄物関係の法律と本質的に差がない法律が生まれることになります。
EPRを盛り込めなかったのは、産業界と通産省からの強い抵抗に環境庁が抗しきれなかったからのようです。同じことは1991年にも起きています。当時厚生省がEPRの考え方を盛り込んだごみ処理法案を作成しましたが、同様に抵抗され、実効力のない法案として成立してしまいました。
現在日本国内に溢れるごみは様々な問題を引き起こし、海外への不法輸出など国際的信用を失いかねない状況になっています。しかし、生産者は法的責任を追求されることはありません。EPRの原則が導入されていたら、このような問題はかなり回避できていたのではと残念でなりません。私たちは当時そのような事情を知り得ず、貴重な機会を逸してしまいました。
同じ過ちを繰り返してはなりません。私たちは日本国内で手を尽くしていますが、マスコミの関心も低く、国民的議論にはなっていません。それをよいことに、政府は法律の理念・原則ではなく、細部ばかり検討しているとのことです。国会でも議論が深まることは期待できません。与党多数の情勢から、3月には原案が提出され、会期中に成立する見通しです。
このままでは、日本国内のごみ問題は解決に向かうことが期待できないだけでなく、いずれアジア諸国のごみ政策を誤らせることになりかねません。皆様にお力を貸していただき、国内的・国際的議論を促していただきたいのです。
以下に「循環型社会基本法」原案のEPRに該当するといわれている部分の翻訳(各文の主語は推定でしかなく、非常に意味の曖昧な文です)と、関係部局のアドレスならびに報道機関のアドレスを記載いたします。関係部局等に抗議のメール、報道機関に議論の喚起を促すメールを送っていただけると私たちにとって大きな力になります。
日本国内ではごみの不法投棄、不適切な焼却によるダイオキシン汚染が問題になっています。また国際的にも日本のごみがフィリピンに不法輸出されたように、大きな問題をひきおこしています。この状況を打開するためにも、私たちはEPRが日本でも浸透することを期待するものです。
どうぞよろしくお願いいたします。
[参考資料]
@「循環型社会基本法案」(環境庁、2000年1月21日)より関係個所を抜粋
6 推進すべき施策・・・プログラム規定
(1)国の講ずる措置
【リサイクルの推進に係る措置】
適正処理やリサイクルの実施状況等を考慮して必要と考えられる場合に、物品の生産、加工、販売、消費、処理等にかかわる者による適切な役割分担の下でのリサイクルの推進を図るため、個々の物品の再生可能性や流通実態等を勘案して、以下を推進。 ○ 物品の耐久性、リサイクルの容易性、環境負荷の低減等の自己評価を通じた発生抑制・リサイクル・適正処理の確保
○ 発生資源の引取、引渡ルートの整備及びリサイクルの実施
○ 物品等に関する情報提供
6 Measures to Be Introduced --- Provisions of the Program
(1) Actions Taken by the Government
Taking into consideration how [goods and products] are disposed properlyor recycled, [the government] is to promote, when it is thought to be necessary, recycling in which each one of those who are engaged, or involved, in producing, manufacturing, distributing, consuming,disposing, etc of [these] goods and products should play an appropriate part and to take the following actions, having regard for the recyclability and distribution of individual goods and products:
・ Reduce, recycle, and properly dispose [discharged] goods and products by means of self-imposed standard [independently set by producers, manufactures, distributors, consumers, those enterprises in waste disposal business, etc] for the durability, recyclability, and environmental hazardousness of goods and products.
・ Encourage the trade of resources generated [from discharged goods and products], improve it's exchange route, and enforce the recycle of the resources.
・ Provide information about goods, products, etc.
A 官庁アドレス、ファクス番号
首相官邸 http://www.iijnet.or.jp/sorifu/kantei/foreign/comment.html
環境庁 Environment Agency web@eanet.go.jp http://www.eic.or.jp/eanet/en/index.html
通産省 webmail@miti.go.jp http://www.miti.go.jp/index-e.html
厚生省 Ministry of Health & Welfare www-admin@mhw.go.jp http://www.mhw.go.jp/english/index.html
建設省 Ministry of Construction kokusai@hs.moc.go.jp
衆議院 webmaster@shugiin.go.jp
参議院 webmaster@sangiin.go.jp
B 報道機関アドレス、ファクス番号
朝日新聞 newsroom@emb.asahi-np.co.jp
毎日新聞 webmaster@mainichi.co.jp simen@mbx.mainichi.co.jp
読売新聞 webmaster@yomiuri.co.jp
産経新聞 webmaster@sankei.co.jp
日経新聞 webmaster@nikkei.co.jp